体罰とは?学校で体罰を受けた時の対処法
日本では、「子どものしつけのためには叩くことも仕方がない」という考え方が根強く残っています。
その結果、しつけを理由に行われた体罰が次第にエスカレートし、深刻な虐待へと発展するケースも少なくありません。
本記事では体罰とは何かについて簡単に触れ、学校での体罰がどのような問題を引き起こすのか、体罰を受けた場合にどのように対応すべきかを解説します。
体罰の定義と法律的な位置づけ
体罰とは、懲戒(ちょうかい:不正や不当な行為に対して制裁を加えること)として肉体的苦痛を与える行為のことを指し、殴る、蹴る、長時間正座をさせるといったものが該当します。
学校教育法第11条において「教員は、教育上必要があると認めるときは(中略)児童、生徒および学生に懲戒を加えることができるが、体罰を加えることはできない」と規定されており、体罰を法律で禁止しています。
また、国際的には、1979年にスウェーデンが世界で初めて体罰を禁止して以来、1990年に発効した「児童の権利に関する条約」に基づき、2019年10月末時点で58か国が子どもへの体罰を法律で禁止しています。
体罰は、法律に違反するだけでなく、児童や生徒の心身に重大な悪影響を及ぼし、教職員や学校への信頼を損なう行為です。
また、体罰によって正しい倫理観を育むことはできず、むしろ力で物事を解決しようとする傾向を助長し、いじめや暴力行為の連鎖を引き起こす可能性があると考えられています。
体罰かどうか判断する基準
教員が児童・生徒に対して行った懲戒行為が体罰に該当するかどうかは、以下に示すようなさまざまな要因を総合的に考慮し、個別のケースごとに判断する必要があります。
その際、懲戒を行った教員や懲戒を受けた児童・生徒、保護者の主観だけで判断するのではなく、これらの要因を客観的に検討することが求められます。
・その児童・生徒の年齢
・健康状態
・心身の発達状況
・行為が行われた場所や時間の状況
・懲戒の具体的な方法
体罰と判断される行為
上述の条件を踏まえた上で、文部科学省では、懲戒の内容が以下2点のいずれかに該当する場合は体罰と認められるとしています。
・身体への侵害を伴う行為(殴る、蹴るなど)
・肉体的な苦痛を与える行為(正座や直立など特定の姿勢を長時間強制するなど)
たとえば、ふざけていた生徒に対して口頭で注意したが聞かなかったため、持っていたボールペンを投げつけて生徒に当てた(身体への侵害を伴う行為)といったものや、宿題を忘れた児童に対して教室後方で正座をするよう言い、児童が苦痛を訴えたが続けさせた(肉体的な苦痛を与える行為)といったものは体罰と判断されます。
体罰が引き起こす問題
体罰が子どもの成長や発達に悪影響を及ぼすことは、多くの研究で指摘されており、繰り返し受けることで心身に様々な悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
具体的には、以下のような影響があるとする研究があります。
・攻撃性が高まりやすくなる
・脳の発達に影響を与える可能性がある
・認知能力に悪影響を及ぼす可能性がある
学校で体罰を受けた場合の具体的な対処法
それでは、学校で体罰を受けた場合の具体的な対処法について解説します。
1.自分や保護者がすべき初期対応
まず、体罰だと思われる行為があった場合は、信頼できる大人や保護者に相談します。
そのうえで、記録(日時、場所、内容、状況など)を取り、証拠を集めておくことが有効でしょう。
他の生徒の証言、体罰があった時の映像や音声、怪我をした場合の診断書や領収書をまとめておきます。
2.学校や教育委員会への相談
次に、担任や学年主任、校長などに報告し、調査を依頼します。
また、学校内での対応が不十分な場合は教育委員会に相談、調査を請求することができます。
体罰を行った本人や学校を一方的に責めるような様子があると、体罰の事実を隠ぺいしようとする可能性があるため、あくまでも調査してほしいという内容を伝えます。
3.相談窓口への相談
学校への調査依頼と同時に、第三者機関が開設している相談窓口も活用しましょう。
児童生徒の主な相談窓口一覧を文部科学省がホームページで公開しています。
その中で、体罰に関する相談窓口は以下の通りです。
・24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310
・子どもの人権110番 0120-007-110
24時間子供SOSダイヤルは、子どもや保護者が夜間・休日を問わず、全国どこからでもいじめなどの悩みを相談できるよう文部科学省が設置しており、電話をかけた所在地にある教育委員会の相談機関に接続します。
子どもの人権110番は、子どもや保護者が学校における体罰やいじめなど人権に関する悩みを相談できるよう、法務省が設置しています。
最寄りの法務局に接続し、法務局の職員や人権擁護委員が相談に応じてくれます。
まとめ
体罰とは何か、学校で体罰を受けた時の対処法について解説しました。
体罰は法律違反というだけではなく、児童や生徒の心身に重大な悪影響を及ぼす行為です。
体罰を受けた際の対処法をしっかり理解し、必要に応じて法的手段をとることも必要になる可能性があります。
学校での体罰について不安なことがある場合は、弁護士への相談を検討してみてください。
基礎知識Basic knowledge
-
内部調査・第三者委員...
内部調査とは、外部から確知し得ない情報について調査をすることができるものとなっており、人的調査や物的調査などが […]
-
損害賠償請求が認めら...
体罰・パワハラ・いじめなどの損害賠償請求が認められるためには、民法709条の要件を満たす必要があります。&nb […]
-
内容証明郵便とは?加...
お子様がいじめを受けているということが分かった際に、加害者側にどのような対応を行えばよいのか考えている方もいら […]
-
学校の水泳事故による...
夏になるとプールの授業が定番ですが、学校の授業などで子供たちが犠牲になる不幸な水泳事故が起こる可能性があります […]
-
スポーツジムで発生し...
ダイエットや健康のために、スポーツジムに通ってトレーニングしている人はいませんか?スポーツジムでトレーニングし […]
-
スポーツジムなどの契...
スポーツジムやフィットネスクラブを経営していると、会員との間に契約トラブルが発生することがあります。経営者は起 […]
よく検索されるキーワードKeyword
資格者紹介Staff

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma
私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。
弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。
スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。
「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。
丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。
所属団体
- 福岡県弁護士会
- 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー
経歴
- S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
- H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
- H5.4 大阪大学法学部入学
- H9.3 大阪大学法学部卒業
- H10.10 司法試験合格
- H11.4 司法修習生(53期)
- H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
- H30.9 岩熊法律事務所開設
事務所概要Office Overview
名称 | 岩熊法律事務所 |
---|---|
所在地 | 〒812-0038 福岡県福岡市博多区祇園町2−35 プレスト博多祗園ビル4階 |
TEL/FAX | TEL:092-409-9367 / FAX:092-409-9366 |
代表者 | 岩熊 豊和(いわくま とよかず) |
対応時間 | 平日 9:30~18:00 |
定休日 | 土曜・日曜・祝日 |
