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いじめ加害者に強要されて万引きした場合はどうなる?

いじめ加害者に強要されていじめ被害者が万引きした場合、罪に問われるのでしょうか?

結論から言うと、万引きは刑法上、窃盗罪という重大な犯罪に該当し、いじめ被害者が万引きした場合でも、窃盗犯として逮捕される可能性があります。

逮捕時に少年の場合その後の処分は、家庭裁判所等で決定されますが、処分を軽くしてもらうためには弁護士のアドバイスを受けるべきです。

本稿では万引き後の少年事件や少年審判の流れについて解説します。

万引きはどのような犯罪なのか?

万引き罪という名前の犯罪類型はありません。

万引きは、空き巣、スリ等と同様の窃盗罪に該当し、「十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」の刑罰に処せられる可能性のある重い犯罪です。

万引きは現行犯で捕まらなければ逮捕されないのか?

万引きは現行犯で逮捕されなければ、逮捕されないと誤解されることがあります。

しかし、現在はどの店舗でも防犯カメラ、監視カメラを備えているのが普通で、万引きしたときは捕まらずに店から出ることができたとしても、万引きが把握されていれば、店が警察に通報して捜査が行われることもあります。

いじめ加害者が万引きを強要した場合の罪状

少年事件では、いじめ加害者がいじめの被害者に万引きをするように強要することがあります。

いじめの被害者が万引き行為をしてしまった場合はどのような罪状に問われるのでしょうか。

 

まず、いじめの被害者が万引き行為をしてしまった場合は、原則として、窃盗罪に問われることになります。

強要されたのに窃盗罪になるのはおかしいと思われるかもしれませんが、そのような場合は、万引きするのではなく、店の人や警察に助けを求めればよいのです。

 

また、万引きを強要したいじめ加害者も教唆犯として、正犯と同様の刑罰を科されます。

正犯とは、この場合は、万引き行為をしたいじめの被害者のことを指します。

つまり、万引きを強要したいじめ加害者も窃盗罪に問われるということです。

少年が万引きしてしまった場合は?

民法では、18歳が成人年齢となっていますが、少年法では、20歳未満の者を少年と定義しています。

そのため、20歳未満の者が万引きをした場合は、少年事件として扱われることになります。

少年事件の流れ

少年が万引きをした場合でも、最初の捜査や取り調べは、警察が行います。

警察が取り調べた後で、どのように扱うかは、少年の年齢により異なります。

少年が14歳未満の場合

少年が14歳未満の場合は、刑事責任を問うことができないため、警察は事件を児童相談所に通告・送致します。

万引き事件だけであれば、その後は児童相談所が調査等の対応を取ります。

少年が14歳以上の場合

少年が14歳以上の場合は、警察から検察に事件が送致され、検察が取り調べを行います。

その後で、家庭裁判所に送致されます。

一定の重大な犯罪の場合は、送致を受けた家庭裁判所が検察に逆送して通常の刑事手続を経て少年刑務所での拘禁刑に処せられるという流れになります。

万引き事件だけであれば、逆送されることはなく、家庭裁判所で審判が行われることになります。

家庭裁判所での少年審判

家庭裁判所が事件を受理しても、すべての事件について少年審判を行うわけではありません。

まず、家庭裁判所調査官が、少年が万引き事件を起こしてしまった背景について調査します。

いじめ加害者に強要されていたという背景が明らかになれば、その点を考慮して、調査結果を裁判官に報告します。

裁判官は、その調査報告をもとに、少年審判を行うかどうか決定します。

少年が犯した犯罪が万引きのみであれば、調査等における教育的な働きかけによって再非行のおそれがないと判断して、「審判不開始」とすることもあります。

裁判官が少年から話を聞く必要があると判断した場合は、少年審判が開始されますが、教育的な働きかけにより少年に再非行のおそれがないと認められた場合は、「不処分」の決定が下されます。

いじめ加害者に強要されたという背景があっても、少年への処分が必要と判断された場合は、「保護観察決定」等の処分を受けることになります。

少年事件で処分を軽くするには?

少年事件で処分を軽くするためには、家庭裁判所等の調査で、少年が事件の背景について正直に話し、反省の意思を示すことが大切です。

また、弁護士に依頼して、万引きの被害者である店舗と示談を成立させることもひとつのポイントになります。

示談が成立していれば、家庭裁判所の裁判官も少年への処分を決める際にその点を考慮して、処分を軽くすることもあります。

まとめ

いじめ加害者に強要されて万引きしてしまい、警察の捜査が行われた場合は、逮捕されて家庭裁判所での少年審判を受ける可能性があります。

少年審判における処分を軽くするためには、早い段階で弁護士に相談し、対処方法についてアドバイスを受けることが大切です。

また、いじめの加害者に対して慰謝料等を請求するためにも、弁護士への相談が有効です。

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資格者紹介Staff

岩熊 豊和弁護士

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma

私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。

弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。

スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。

「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。

丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。

所属団体

  • 福岡県弁護士会
  • 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー

経歴

  • S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
  • H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
  • H5.4 大阪大学法学部入学
  • H9.3 大阪大学法学部卒業
  • H10.10 司法試験合格
  • H11.4 司法修習生(53期)
  • H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
  • H30.9 岩熊法律事務所開設

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