スポーツ事故に関するリスクマネジメントとは
スポーツ現場において、事故の発生確率を下げ被害を最小限に抑えるための組織的な取り組みをリスクマネジメントといいます。
今回は、スポーツ事故に関するリスクマネジメントについて解説します。
スポーツ事故を予防するためのリスクマネジメント
スポーツ事故を未然に防ぐためのリスクマネジメントには、次のような対策が該当します。
設備の定期的な点検
スポーツ事故を予防するためには、設備を日常的に点検することが欠かせません。
設備の不備は重大な事故につながる可能性があります。
そのため、チェックリストなどを活用して客観的な基準で管理することが大切です。
参加者の健康状態の把握
スポーツ参加者の既往症や当日の体調を把握しておくことは、過度な負荷による事故を防ぐために有効です。
必要に応じた健康確認やメディカルチェック、当日のウォームアップ中の様子を観察することが求められます。
自然環境に起因する被害を防ぐための判断基準の策定
スポーツ活動は屋外で行われることも多いため、自然環境に起因する被害への対策は必須です。
自然環境に起因する被害として、暑さによる熱中症や落雷事故などが挙げられます。
これらを防ぐためには、天候や環境に応じて活動制限を行ったり、活動中の休息時間を適切に設定したりすることが重要となります。
安全な指導プログラムの策定
スポーツ指導者は、安全な指導プログラムを作成しなければなりません。
なぜなら、不適切な練習の強要にはスポーツ事故につながるリスクがあるためです。
身体の成長段階や個人の能力を考慮した練習メニューの構築が求められます。
組織内でのリスク情報の共有
スポーツ事故が発生しそうになった事例については、組織全体で情報を共有してください。
情報を蓄積して具体的な対策を講じることで、再発防止につながります。
スポーツ事故発生後の迅速な対応を可能にするリスクマネジメント
スポーツ事故発生時に迅速な初動対応を可能にするためには、あらかじめ緊急時対応計画を策定しておくことが大切です。
緊急時対応計画では、事故が発生した際の役割分担を明確にしておきましょう。
救急用具の場所を周知することや、関係各所への連絡体制を整えておくことも有効です。
さらに、定期的に避難訓練や救急処置の講習会を実施することで、より高い効果が期待できます。
スポーツ事故による損害を抑えるために有効なスポーツ安全保険
スポーツ事故が発生した際に、組織的な損失を最小限に抑え、被害者への補償を迅速に確保するためには、スポーツ安全保険に加入しておくことが有効な対策のひとつです。
スポーツ安全保険とは、スポーツ活動中に発生した事故によって参加者が怪我をしたり、他人に損害を与えたりした場合の賠償責任を補填する制度です。
複数の区分が用意されているため、活動の内容や規模に応じて選択することができます。
リスクマネジメントの実効性を高めるPDCAサイクルとは?
スポーツ現場におけるリスクマネジメントの実効性を高めるためには、Plan(計画)・Do(実施)・Check(評価)・Act(改善)を繰り返すことが重要です。
これを、PDCAサイクルといいます。
Plan(計画)の段階では、スポーツ事故につながる可能性のあるリスクをデータに基づいて洗い出し、安全対策や緊急時対応マニュアルを策定します。
次に、Do(実施)では策定した計画に基づき、現場での指導や避難訓練などを実施します。
続くCheck(評価)の段階では、実施した対策が実際に機能したかどうか、不確定な要素が残っていないかを検証します。
定期的な安全会議を開催し、実際に発生した軽微なトラブルや現場から上がってきた改善案を客観的に評価することが大切です。
最後のAct(改善)において、評価の結果から発覚した課題を修正し、次の計画へと反映させます。
常に変化し続ける環境に合わせてマニュアルをアップデートし続ける姿勢が、スポーツ事故を未然に防ぐことにつながります。
スポーツ事故が発生した場合に指導者が負う責任とは?
スポーツ事故によって参加者が死傷した場合、指導者や監督者は、民事上・刑事上の責任や、所属団体からの懲戒処分の対象となる場合があります。
指導者が回避措置を怠ったことでスポーツ事故が発生した場合には、被害者が受けた損害に対して金銭で賠償する責任を負います。
さらに、発生したスポーツ事故において指導者の不注意が著しく、社会的に見て許容できない場合には、懲役や罰金などの刑罰を科されます。
具体的には、業務上、他人の生命・身体を保護すべき立場にある者が必要な注意を払わず死傷させた場合に、業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
まとめ
今回は、スポーツ事故に関するリスクマネジメントとして、事故を予防するための対策や事故後の対応を迅速にする方法などについて解説しました。
リスクマネジメントを行いたい方は、スポーツのトラブルに精通している弁護士にご相談ください。
基礎知識Basic knowledge
-
いじめで学校を刑事告...
子供が学校でいじめられている…このような問題を抱えているはいませんか?中にはいじめについて、学校を刑事告訴でき […]
-
学校がいじめを把握し...
学校のいじめの問題は対応しないでいると、最悪の場合命に関わる大きなものです。とはいえ、学校という閉鎖的空間は、 […]
-
スポーツの指導者向け...
子どもたちにスポーツを教える指導者の方などは、指導中の事故に備える必要があります。指導するスポーツによっては、 […]
-
日本スポーツ仲裁機構...
日本スポーツ仲裁機構(JSAA)とは、スポーツに関するさまざまなトラブルを公平・適正かつ迅速に解決することを目 […]
-
どこからが体罰・パワ...
体罰・パワハラ・いじめには、どのようなラインが設定されているのかがしばしば議論の対象となります。体罰やいじめは […]
-
いじめ加害者に強要さ...
いじめ加害者に強要されていじめ被害者が万引きした場合、罪に問われるのでしょうか?結論から言うと、万引きは刑法上 […]
よく検索されるキーワードKeyword
資格者紹介Staff
岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma
私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。
弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。
スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。
「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。
丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。
所属団体
- 福岡県弁護士会
- 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー
経歴
- S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
- H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
- H5.4 大阪大学法学部入学
- H9.3 大阪大学法学部卒業
- H10.10 司法試験合格
- H11.4 司法修習生(53期)
- H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
- H30.9 岩熊法律事務所開設
事務所概要Office Overview
| 名称 | 岩熊法律事務所 |
|---|---|
| 所在地 | 〒812-0038 福岡県福岡市博多区祇園町2−35 プレスト博多祗園ビル4階 |
| TEL/FAX | TEL:092-409-9367 / FAX:092-409-9366 |
| 代表者 | 岩熊 豊和(いわくま とよかず) |
| 対応時間 | 平日 9:30~18:00 |
| 定休日 | 土曜・日曜・祝日 |