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学校の体育の授業で事故が起きた!その責任はどこにあるのか、予防策について解説

体育の授業中にスポーツ事故が発生して、生徒がけがしてしまうこともあり得ます。

この場合、学校や教職員の責任はどうなっているのでしょうか?

また授業中スポーツ事故が発生させない場合、どのような予防策があるかについてもあわせて紹介します。

体育のスポーツ事故は誰の責任? 

体育における事故で子供が怪我した場合、責任の所在として以下の候補が考えられます。

 

・教師

・学校

・生徒

 

それぞれ責任が発生するのか、どのような時に責任が発生するかについて見ていきます。

教師

授業中に監督上の過失が認められれば、不法行為に基づき損害賠償請求が可能です。

「危険が伴うスポーツをする際に注意事項を子供たちに伝えなかった」「子供の能力を明らかに超えるスポーツを支持してけがした」などは教職員の責任に帰すと考えられます。

学校

体育の授業中に教職員に過失があった場合、学校も監督責任を問われる可能性があります。

その他には学校の設備に何かしらの瑕疵が認められた場合も、学校が子供の怪我の損害賠償責任が発生すると考えてください。

生徒

特定の生徒の故意もしくは過失で別の生徒がけがした場合には、加害生徒への損害賠償請求が可能になります。

ただし該当するスポーツのルールを著しく違反しているわけではなく、許容された動作でけがした場合や生徒が自分に行った行為がどのような結果をもたらすか知りうるだけの知能がなかった場合には責任は問えません。

一般的に12歳未満の生徒には責任能力は認められないとされています。

災害共済給付金の活用も検討しよう

体育の授業中の事故でけがした場合、学校や教職員に責任追及できないケースもあります。

教職員に過失が認められなかった、設備に瑕疵がなかった場合不可抗力の事故となって、責任はなしとなってしまいます。

 

しかしこのような場合でも災害共済給付金を受給することで損害賠償代わりにできるかもしれません。

災害共済給付金は、体育などの授業中のスポーツ事故で療養に要した費用が5,000円以上かかった場合が対象です。

 

給付金はけがした場合には医療保険に該当する治療費の4/10が給付されます。

高額医療費の場合には、自己負担額プラス療養に要した治療費の1/10が支給されます。

体育の授業中のスポーツ事故を予防する方法 

体育のスポーツ事故は責任問題など複雑なトラブルに発展する恐れがあります。

スポーツ事故を回避する方法はあるので、ここで紹介しましょう。

頭や首のけがは慎重に

スポーツ中に頭部や頸部を強く打った場合には、該当する生徒はすぐに休ませましょう。

頭を打った場合、すぐに症状が出ない可能性があります。

そこでしばらく休ませるとともに、生徒の体調に変化がないか教職員は慎重に観察してください。

AEDの準備をしておく

とくに持久走をしているときに、子供が倒れてしまうことがあります。

これは心臓系の疾患によるものです。しかも走っているときではなく、走った後や休憩中に倒れるケースが多いです。

持久走が終わった後も生徒の状態を観察し、異変が見られればすぐにAEDが使えるような体制を準備しておきましょう。

熱中症対策を万全に

近年、日本各地で夏場猛暑を記録しています。

夏の日中に体育の授業をして、熱中症で倒れる事例も少なからず見られます。

 

そこで体育におけるスポーツ事故対策として、今後力を入れていかないといけないのが熱中症対策です。

熱中症対策として、アイスパックで脇を冷やす方法はよく知られています。

しかし専門家によると、この方法では体を冷却効果はあまり期待できないそうです。

 

アイスパックの場合、皮膚との接触する面積が小さすぎます。

よって十分熱を下げられないわけです。

 

おすすめなのはアイスバスです。

桶などに水を貼って、そこに氷を入れて熱中症になった生徒をその中に入れます。

これが最も体温を下げる効果があるといわれていて、アメリカのスポーツ現場では多くで取り入れられている手法です。

 

しかし日本ではまだ普及していないので、アイスバスが用意できないところも多いでしょう。

その場合には熱中症患者を日陰に運び、冷水をかけます。

そのうえで風を送れば、全身を素早く冷やせるでしょう。

 

もしくは冷水に浸したタオルを全身に巻く方法も有効といわれます。

ただしタオルはすぐに体温で熱せられるので、12分を目安に交換してください。

まとめ

体育の授業中にスポーツ事故が発生し、最悪子供が帰らぬ人になってしまうこともあります。

危険性のあるスポーツをする際には注意点を生徒に周知させる、何か異変があった場合にはすぐに休ませるなど対策をしっかり講じてください。

さまざまな予防策を講じたうえでも万一の事故があった際には、この記事を参考にして最善の対応を行い、責任の所在があいまいなど、場合によっては弁護士等への依頼も検討するようにしましょう。

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資格者紹介Staff

岩熊 豊和弁護士

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma

私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。

弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。

スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。

「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。

丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。

所属団体

  • 福岡県弁護士会
  • 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー

経歴

  • S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
  • H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
  • H5.4 大阪大学法学部入学
  • H9.3 大阪大学法学部卒業
  • H10.10 司法試験合格
  • H11.4 司法修習生(53期)
  • H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
  • H30.9 岩熊法律事務所開設

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