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免責同意書とは?同意したら全く責任を取ってもらえないの?

スポーツ大会などに参加する場合、免責同意書に「〇〇は一切の責任は負いません」と記載してあり、同意しなければ参加できない状況をよく見かけます。

この記事では、免責同意書の意味や同意したら全く責任を取ってもらえないのかという疑問について解説します

免責同意書とは

免責同意書とは、「本団体は、運営上で起こったケガや死亡事故、損害・損失・障害について一切の責任を負いません」とか、「利用中に起こったいかなる損害や損失も私は損害賠償請求をいたしません。」といった内容が記載されている書面のことです。

免責同意書を簡単に言えば、スポーツ大会に参加したり、トレーニングジムのサービスや器具などを利用したりすることで「事故やケガを負ってもすべて自己責任で処理します」と利用前に誓うことです。

免責同意書には、以下のように2パターンあります。

 

  • 運営者側が「一切の責任を負わない」と言い切るパターン
  • 利用者に「すべて自己責任です」と同意を求めるパターン

 

どちらにせよ、記載内容に同意して署名しなければ大会参加やスポーツジムなどの利用はできません。

免責同意書の効力

免責同意書の効力は、事故などの発生状況によって異なります。

例えば、オリンピックの鉄棒種目で鉄棒の支柱に不具合があり、支柱が倒れたことで選手がケガを負った場合は明らかに運営者側の責任です。

大会前に同意して署名したとしても、大会で使用される道具チェックを怠らなければ防げた事故なので、運営側に賠償請求できる可能性があります。

一方、器具などに問題がなく、選手のミスによってケガを負った場合は選手に責任があるので免責同意書に効力があると言えます。

免責同意書に関する法律

免責同意書に関する法律として「消費者契約法」というものがあり、利用規約や免責同意書は次の場合は無効と判断されます。

「事業者の責任・過失によって消費者に損害が生じたときには、事業者の責任をすべて免除する内容が含まれている場合は、その内容はすべて無効とする」といった内容です。

(参考元:e-Gov法令検索 消費者契約法

 

この法律により、利用者が「一切の責任は負わない」もしくは「利用者はすべての免責を受け入れる」と記載のある免責同意書に同意しても、大会運営者などが提供するサービスや器具が原因で起こったケガや事故は運営者や主催者側に責任を問えます。

また、運営者や主催者に対して、ケガや後遺症を患った事故状況を説明しても賠償請求に応じてもらえない場合は法的手段を選択することも可能です。

免責同意書に同意すると責任を取ってもらえないのか?

免責同意書に同意すると、どのような場合に責任を取ってもらえないのかみていきましょう。

免責同意書に同意すると責任を取ってもらえないケースがある

免責同意書に同意すると以下の場合は責任を取ってもらえない可能性が高いです。

 

  • 自分の判断ミスや操作ミスによる事故やケガ
  • 指導員の指示を聞かず、自分勝手に動いたことによる事故やケガ
  • 複数名で行うスポーツにおいてラフプレーや選手同士で接触した際に起こった事故やケガ
  • 利用客同士や選手同士のケンカによる事故やケガ

 

スポーツジムやスポーツ大会などの主催者や運営者は、場所や器具の利用許可を出しますが、選手や利用客自身で起こしたケガや事故、トラブルに関して倫理的に責任は負わない確率が高いと考察します。

免責同意書に同意しても責任を取ってもらえるケースがある

免責同意書に同意しても責任を取ってもらえるケースとは、以下の場合です。

 

  • 運営者や主催者側に落ち度があるとき
  • 運営者や主催者側のチェックミスによって起こった事故やケガ
  • ケガを負った当事者の扱い方にも問題はあるが運営者側にも責任があるとき
  • 熱中症により選手の体調が悪そうに見えても指導者や運営者が中断せずに続行させるなど、判断を誤って選手や参加者に後遺症が残ったり、死亡に至らせたりしたとき

 

このように少しでも運営者や主催者に責任があれば、免責同意書に同意したとしても損害賠償に応じてもらえる可能性があります。

ただし、運営者側の従業員や指導員、インストラクターなどのスタッフがいない場所での事故やケガについて証拠となるものがない場合は、認めてもらえない可能性があるので注意してください。

免責同意書に同意するときの注意点

免責同意書に同意する際には、以下の点に注意が必要です。

 

  • 記載内容の隅々まで目を通して内容を理解する
  • 不明点があれば主催者や運営者に確認する
  • 同意を強要されるスポーツジムやスポーツクラブなどは利用しない
  • 万が一にも事故やケガを負った場合の対応を確認する
  • すでに施設などを利用している人に聞いてみる

 

スポーツジムやスポーツクラブなどを利用したい気持ちが優先して、免責同意書の内容を細部まで確認せず同意して署名すると後悔するかもしれないので注意してください。

まとめ

今回は、免責同意書の意味や同意したら全く責任を取ってもらえないのかという疑問について解説しました。

免責同意書に「〇〇は一切の責任は負いません」と記載があっても、明らかに運営者や主催者側に非があるときは責任を問えます。

免責同意書に同意したので運営者や主催者に損害賠償請求できないと悩んでいる場合は、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

 

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岩熊 豊和弁護士

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma

私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。

弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。

スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。

「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。

丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。

所属団体

  • 福岡県弁護士会
  • 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー

経歴

  • S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
  • H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
  • H5.4 大阪大学法学部入学
  • H9.3 大阪大学法学部卒業
  • H10.10 司法試験合格
  • H11.4 司法修習生(53期)
  • H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
  • H30.9 岩熊法律事務所開設

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