いじめの証拠例となるものを解説
いじめの問題というのは、いつまでもなくなりません。
もし、自分や自分の子どもがいじめにあってしまったら、どうすればよいのでしょうか。
いじめを受けた場合には、その証拠を持って学校に報告し、適切な対応を求めるのがひとつの手段となります。
この記事では、学校に動いてもらうために必要となる『証拠』の例になるものを解説していきたいと思います。
いじめは「刑事事件」なのか「民事事件」なのか
いじめが暴力や脅迫、名誉毀損などの犯罪行為を伴う場合、それは刑事事件として扱われることがあります。
この場合、警察が捜査を行い、検察官が加害者を訴追することになります。
刑事事件では、検察官が被告の有罪を「合理的な疑いを超えて」証明する必要があります。
この「合理的な疑いを超えて」証明する部分が難しいため、一般的にはいじめを「刑事事件」として扱うことは「民事事件」として扱う場合に比べて難しいとされています。
いじめは状況によって「民事事件」または「刑事事件」のどちらとしても扱われることがあります。
民事事件は、個人や団体間の権利や義務に関する紛争を解決するための裁判です。
主に金銭的賠償などを求めるもので、証明責任は「優位の証拠」に基づきます。
刑事事件は、社会全体に対する犯罪行為を処罰するための裁判です。
検察官が被告を訴追し、罪が「合理的な疑いを超えて」証明される必要があります。
具体的ないじめの「刑事事件」「民事事件」の分け方
いじめの被害者が加害者に対して損害賠償を求める場合、これは民事事件になります。
この場合、被害者は精神的苦痛や身体的な被害に対する賠償を求めることができます。
民事事件では証明責任が原告(被害者)にあり、証拠を基に裁判所が判断します。
また、いじめの加害者や学校と話し合いを行い、いじめについて和解するような場合にも、「民事事件」として扱われるといえるでしょう。
この記事では、比較的事例の多い「民事事件」としていじめを扱った場合で考えて、いじめの証拠についてより詳しく見ていきます。
民事的な意味合いにおける『いじめの証拠』の重要性
民事事件であっても、いじめの証拠は事実を認定するうえで非常に重要な役割を持ちます。
学校にいじめを報告して対応を求める場合、裁判にする場合でも話し合いで解決する場合でも、民事的な意味でのいじめの具体的な証拠がなければ、学校が誠意ある対応を見せてくれないことがあります。
また、証拠が曖昧な場合にはいじめの加害者側が上手くごまかしたり、逃げたりしてしまう可能性も出てきてしまいます。
このことが理由で、自殺などの事態に陥るようなことは少なくないため、そうならないためにもいじめの証拠を用意することはとても重要なのです。
いじめの実態を掴むためや、いじめの証明、被害の緩和やケアのためにも証拠は必要になります。
『いじめの証拠』には2種類ある
いじめにおける証拠は、大きく分けて2種類に分けられます。
それは「状況による証拠」と「形に残る証拠」です。
どちらも重要な証拠になり得るが、証拠能力の差が違っているのです。
できるだけ証拠能力の高い証拠を選んで用意することも、被害者を助けるために必要となります。
状況による証拠
状況による証拠はいじめの具体的な事実を示したものではありませんが、間接的にいじめがあったことを伺わせるようなものであれば、いじめの証拠として認められることがあります。
たとえば、以下のようなものが証拠として認められる場合があります。
日記やメモ
具体的にいつ・どこで・だれが・だれに・何をされたかしっかり記載された日記やメモは、証拠として認められる可能性があります。
また、いじめの記録のために日記をつける場合、噓を書くのはもちろん、誇張した表現にも気を付けなければなりません。
必ず真実を書いたものを用意しましょう。
目撃者による証言
目撃者による証言は、第三者から見た客観的な意見を得られる証拠となります。
ただ、この場合問題となるのが、そもそも目撃者を用意できるのかどうかです。
例えば、同級生に目撃者証言を頼んだとしても、それがきっかけでいじめをエスカレートさせてしまうリスクがあります。
逆に、被害者にとって不利益な証言をされる可能性も捨てきれません。
目撃者による証言をしてもらう際は、慎重に行動する必要があります。
形に残る証拠
より直接的な証拠として、形に残る証拠を用意できればいじめがあったことを裏付けやすくなります。
いじめが起きた際の音声データや動画
いじめが起きた際の音声データや動画は、最も有力な証拠のひとつとなります。
音声や映像によっていじめの犯人を特定でき、どのようなことをされたのかがすぐに分かります。
また、音声でも動画でも、記録する際は加害者の名前・被害内容・被害に遭った場所を声に出しておくことで、より強力な証拠となるのです。
壊されたり汚されたりしたもの
いじめによって壊れたり汚された物は、いじめの証拠として活用できます。
とくに、前述した間接的な証拠である目撃証言や日記などと合わせることで、より有力な証拠となる場合があります。
壊れた物や汚れた物はできるだけそのまま保管し、保存が難しい場合は、異なる角度から写真や動画を撮影しておくと良いでしょう。
まとめ
いじめの証拠例についてまとめていきました。
いじめ問題はなかなかなくならないため、可能な限りいじめの被害者にならないことが大切ですが、被害にあってしまった場合でも自分を守るために、しっかり証拠を押さえることが大事になります。
証拠も、できるだけ形に残る証拠を用意して、自分の身を守る用意をしましょう。
あまりにも酷い場合には、法律事務所に頼ることも大事です。
法律事務所ではいじめの被害者に対しても法律的な観点から有効なアドバイスを行うなど、有効な助けになってくれるので、まずは一度相談してみてください。
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資格者紹介Staff
岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma
私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。
弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。
スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。
「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。
丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。
所属団体
- 福岡県弁護士会
- 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー
経歴
- S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
- H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
- H5.4 大阪大学法学部入学
- H9.3 大阪大学法学部卒業
- H10.10 司法試験合格
- H11.4 司法修習生(53期)
- H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
- H30.9 岩熊法律事務所開設
事務所概要Office Overview
名称 | 岩熊法律事務所 |
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所在地 | 〒812-0038 福岡県福岡市博多区祇園町2−35 プレスト博多祗園ビル4階 |
TEL/FAX | TEL:092-409-9367 / FAX:092-409-9366 |
代表者 | 岩熊 豊和(いわくま とよかず) |
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