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いじめに関する学校の責任は?民事訴訟を起こす流れを解説

もし子供が学校でいじめを受けていた場合、いじめていた子供のほかにも学校に対して法的責任を問える場合があります。

学校を訴える方法として、刑事告訴や民事訴訟があります。

今回は民事訴訟にターゲットを絞って、どのように訴えればいいか見ていきます。

いじめで学校に法的責任を追及できる?

実際にいじめた当事者に対して損害賠償責任を取問うのはわかりますが、実際に何かいじめたわけではない学校にも法的責任を追及できるのかと思う人もいるでしょう。

しかし学校に過失があって、いじめを助長した場合には学校に法的責任を追及することは可能です。

安全配慮義務違反の有無がポイント

学校に法的責任を追及できるか、安全配慮義務違反があったかどうかがポイントです。

安全配慮義務とは、生徒が危険な目に合わないように安心安全に学校生活を過ごせるように配慮する義務のことです。

安全配慮義務は予見可能性と結果回避可能性の2つの基準で、違反があったか判断します。

 

簡単に言えば先生がいじめを予見できる状況にあり、いじめが起きる前に未然に適切な対処をしていたかです。

もしいじめが予見できる状況で、適切な対応をしなかったのでいじめられたと判断されれば、学校に損害賠償請求が可能です。

国公立と私立の違い

もし学校相手に民事訴訟する場合、相手の学校が国公立か私立かによって、対処が異なります。

私立の場合、民法に基づき、その学校を運営している学校法人を相手に訴訟を起こします。

 

一方国公立学校の場合、学校を直接訴えることはできません。

学校の設置者である、国や自治体に対する損害賠償請求になります。

また請求の根拠になる法律は国家賠償法になります。

市町村立の学校であれば市町村、都道府県立の学校なら都道府県相手に訴訟を起こします。

ただし国立は若干異なります。

基本的に国立の学校は国ですが、国立大学は国立大学法人が損害賠償の請求先になるので注意してください。

時効に注意

損害賠償請求をするには、時効があることを理解しておきましょう。

とくに202041日で時効の基準が変わってくるので、注意してください。

4月1日より前であれば3年、41日以降なら5年が時効になります。

 

ただしこれはいじめによって子供が怪我したなど、人的損害に対する賠償請求の場合です。

いじめで持ち物を壊されたといった物的損害を請求する場合、202041日以降でも時効は3年なので注意してください。

いじめで民事訴訟を起こす流れを紹介

いじめに関する損害賠償請求を学校に対して行う場合、手続きの手順があります。

一般的に以下のような流れで進めていくものと思ってください。

 

  • 損害賠償額の設定
  • 賠償金の請求書を送付
  • 示談交渉
  • 民事訴訟

損害賠償額の設定

まずは学校に対して、損害賠償額をいくら請求するか検討しましょう。

いじめでけがした場合の治療費、物を壊されたり金品を渡したりしているときにはその代金、精神的苦痛に対する慰謝料などを組み合わせて計算します。

しかし適正な金額がいくらなのか、素人にはわからないでしょう。

弁護士に相談すれば、見積もりを出してもらえます。

賠償金の請求書を送付

損害額がわかれば、学校などに賠償金を請求します。

このときいじめのあったことを証明する証拠などもあわせて送付するといいでしょう。

もしかすると学校側が「そのような請求書は受け取っていない」といってくる場合もあるので、内容証明郵便で送るのがおすすめです。

郵便物の内容や送付日などが記録されるからです。

示談交渉

損害賠償請求すると、通常は加害者側と被害者側で示談交渉を行います。

損害賠償請求の可否や金額などの交渉のほかにも、加害者側の謝罪を要求することも可能です。

もし相手がいじめの事実を認め、賠償金を支払うとなればここで示談書を作成して、賠償金を受け取ることになるでしょう。

民事訴訟

示談交渉を行ったけれども、不調に終わった場合にはいよいよ民事訴訟といって、裁判手続きに移行します。

訴状を作成して裁判所に提出すると、加害者側にも訴状が届きます。

あとは裁判の場でお互い主張して、裁判官に判断してもらう形になります。

まとめ

いじめがあって、学校側が安全配慮義務を怠ったと判断された場合には、いじめた側だけでなく学校にも法的責任を追及することができます。

学校の場合、国公立か私立かで訴訟相手や根拠法が変わってくるので注意しましょう。

タフな交渉になる可能性が高いので、弁護士に代理人になってもらって、話を進めていくといいでしょう。

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資格者紹介Staff

岩熊 豊和弁護士

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma

私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。

弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。

スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。

「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。

丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。

所属団体

  • 福岡県弁護士会
  • 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー

経歴

  • S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
  • H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
  • H5.4 大阪大学法学部入学
  • H9.3 大阪大学法学部卒業
  • H10.10 司法試験合格
  • H11.4 司法修習生(53期)
  • H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
  • H30.9 岩熊法律事務所開設

事務所概要Office Overview

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