プール監視員のバイト中に事故が発生したら高校生でも損害賠償を請求される?
夏になると、プールでの事故の報道が多くなります。
事故が発生する原因はさまざまですが、誰に責任があるのか、また監視員がアルバイトの高校生の場合についても確認してみましょう。
ここでは、プール運営者や監視員が損害賠償請求を受けるケースについて解説します。
プール事故発生の主な原因
プールで発生する事故の主な原因は以下の4つです。
- 水中で溺れる
- 持病による発作
- 水中での衝突
- 飛び込み
これらの結果、死亡事故や障害を負ってしまうケースがあります。
プール監視員の業務とは
プール監視員の業務は、プールを使用している者が沈んだまま浮かんでこなかったり、溺れていないかどうかを常に注意深く確認する業務です。
またプール内で危険な行為を行っている者がいる場合には、注意喚起を行います。
さらに実際にプールの使用者が溺れているような場合には、他の監視員に状況を伝え救護活動を行うことも業務の一環となります。
監視員が高校生でアルバイトでも損害賠償責任はあるのか?
高校生が監視員のアルバイト中に事故が起きてしまった場合、損害賠償請求をされるのでしょうか。
プール事故発生を予見でき、回避できたにもかかわらず不注意により事故発生を予見せず、回避しなかったことで損害賠償請求されるケースがあります。
監視中に事故が起きたら責任は誰にある?
プールの監視中に事故が起きた場合の責任は、次のような状況によって異なります。
- 施設の不備であった場合
- 監視員の職務怠慢であった場合
- プールを使用している者が危険行為をした場合
それぞれ確認していきましょう。
施設の不備であった場合
プールの施設に欠陥があった場合、事故が発生したときにはそのプールを運営しているその施設の管理者が損害賠償責任を負うことになります。
というのも、プールの管理者は、施設を安全に運営していくためのメンテナンスや修繕を行う義務があるためです。
メンテナンスなどを怠り、施設が経年劣化したことなどによってプールでの事故が発生した場合には、運営者の責任となります。
監視員の職務怠慢であった場合
プールの監視員は、プールの状況を監視し、溺れている人がいないかや危険な行為をしていないかどうかなどを確認することが業務です。
そのため、プールの監視員がその職務を怠ったことでプールの事故が起きた場合には、高校生であっても損害賠償責任を負う可能性があります。
ただし、高校生のプールの監視員はアルバイト雇用であることがほとんどです。
そのため、損害賠償の責任は、高校生のプール監視員を雇用した施設の管理者も負うことになります。
というのも、アルバイトなどを雇用した施設の管理者には、使用者責任があります。
使用者責任とは、雇用した者が業務を遂行できるよう教育し、またきちんと業務を遂行できているか監督する義務があります。
アルバイトなどが職務怠慢によりプールの事故を起こしたときには、使用者が雇用した者の教育や監督を怠ったと考えられます。
プールを使用している者が危険行為をした場合
高校生がプールの監視をしていたときに、プールを使用している者が危険行為をして事故を起こした場合、損害賠償の責任がプールの監視員が負うかどうかは状況によって異なります。
例えば、プールの監視員が危険行為に対して注意喚起をしていなかった場合、監視員や施設を管理している者に責任が問われるケースもあります。
一方、危険行為をしているプールを使用している者に対し、注意喚起など危険行為を辞めさせようとしたのにも関わらず、注意を無視して事故が起きたような場合には、状況にもよりますが損害賠償責任を負わなくてよい可能性が高いです。
まとめ
今回は、プールの監視員のバイトをしていた最中に事故が起きてしまい、損害賠償責任を請求されるのかについて解説しました。
高校生のプールの監視員が、監視しているときに事故が起きた場合、損害賠償責任を負うかどうかは状況によって異なります。
またアルバイトの監視員だけが全責任を負うことは考えにくく、アルバイトを雇用したか管理者が責任を問われる可能性が高いです。
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資格者紹介Staff
岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma
私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。
弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。
スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。
「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。
丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。
所属団体
- 福岡県弁護士会
- 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー
経歴
- S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
- H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
- H5.4 大阪大学法学部入学
- H9.3 大阪大学法学部卒業
- H10.10 司法試験合格
- H11.4 司法修習生(53期)
- H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
- H30.9 岩熊法律事務所開設
事務所概要Office Overview
名称 | 岩熊法律事務所 |
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