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スポーツ事故による損害賠償の時効はある?

スポーツ事故による損害賠償の請求には時効があります。

時効の期間を過ぎて時効が完成してしまうと、加害者に損害賠償を請求できません。

この記事では、具体的な時効完成までの期間と、その猶予や更新について解説します。

スポーツ事故による損害賠償が認められるのは?

スポーツには常に怪我のリスクがあり、必ずしも損害賠償が認められるわけではありません。

スポーツ事故により損害賠償が認められるケースには、次のようなものがあります。

 

  • 致死傷の危険性が高いスポーツで注意義務の違反があった
  • 施設の安全確保ができていなかった
  • 適切な指導ができていなかった

 

指導者や施設には、指導を受ける者や施設利用者の安全に配慮する義務があります。

その義務を怠って怪我を負わせた場合、損害賠償が認められる可能性があります。

スポーツ事故による損害賠償の時効

スポーツ事故による損害賠償には時効があります。

損害及び加害者を知った時から5年、不法行為の時から20年です。

 

損害及び加害者を知った時とは、加害者の行為が違法であり、それにより損害が発生したと知った時です。

スポーツ事故においては、「加害者の過失によって怪我をした」と認識した日から5年となります。

 

不法行為の時から20年での時効とは、事故の発生した日から20年が経過してしまうと、それ以降に「加害者の過失によって怪我をした」と知ったとしても、その加害者に損害賠償請求できないという事です。

時効の更新や完成猶予

次のような行為により、時効の完成を一時的に止めることや、時効を更新することが可能です。

 

  • 加害者が損害賠償金の支払いを認める
  • 協議を行う旨に合意する
  • 催告を行う
  • 裁判を行う

加害者が損害賠償金の支払いを認める

加害者が損害賠償金を支払うことを認めた場合、その時点で時効が更新されます。

時効の更新とは、今まで進んでいた時効が0に戻り、その時点からまた新たに時効期間がスタートすることです。

 

たとえば加害者から少額でも弁済された場合、加害者は賠償金の支払いについて承認したとみなされ、そこから時効が再スタートします。

また、賠償金の支払いについて猶予を懇願された場合も、相手が賠償金の支払いを認めたことになり、更新理由となります。

この時、口頭でのやり取りでも時効の更新理由となりますが、より確実な証拠とするには書面に残した方が良いでしょう。

協議を行う旨に合意する

時効が成立してしまう間際の場合、双方に協議を行う旨の合意があれば、時効の完成を一定期間止められます。

協議を行うことに合意する旨を書面で表すことにより、以下の期間で時効が完成しなくなります。

 

  • 協議を行う旨の合意から1年間
  • 1年未満の期間を定めた場合はその期間
  • 協議続行を拒否する書面が通知された場合、その通知から6か月

 

1年の期限内に協議がまとまらなかった場合、再協議を行うことに合意することで、猶予期間を1年ごとに延長することも可能です。

ただし延長できる期間は、本来時効が完成するはずであった時点から5年を経過するまでの間に限られます。

催告を行う

協議を行う場合と同様、催告を行うことで時効の完成を6か月間阻止することが可能です。

ここでの催告とは、加害者に対し損害賠償請求についての内容証明郵便を送ることを言います。

 

ただし、催告によって時効の完成が猶予されるのは一度きりです。

協議の合意のように催告を繰り返し、時効を何度も伸ばすことはできません。

裁判を行う

裁判を起こすことにより、訴訟が終了するまで時効の完成が猶予されます。

さらに、確定判決や和解などにより損害賠償を受ける権利が確定すると、時効期間が更新されます。

また訴えを取り下げた場合にも、取り下げから6か月間は時効の完成が猶予されます。

 

時効の完成を阻止したい場合、相手が協力的な場合には、弁済を受けたり協議の合意を取り付けたりという方法が利用できます。

しかし相手が非協力的な場合にはその方法を使用できません。

加害者側が非協力的な場合には催告を行い、裁判を起こして解決を目指しましょう。

スポーツ振興センターから給付を受ける場合

学校の管理下で起きたスポーツ事故の場合、スポーツ振興センターから給付金の支払いがある可能性があります。

給付金の支払いにも時効があり、給付事由が発生してから2年間です。

 

学校で起きたスポーツ事故では、スポーツ振興センターから給付を受けて治療を行い、その後、加害者に対して損害賠償請求を行うことが一般的です。

それぞれの時効に注意して対応してください。

まとめ

この記事では、スポーツ事故による損害賠償請求の時効について解説しました。

損害賠償請求の時効は、加害者の過失によって事故が起きたと知った時から5年です。

ただし、さまざまな方法によって時効期間がリセットされたり、時効の完成が猶予されたりします。

状況に応じて手段を使い分け、時効に注意しながら損害賠償請求を行ってください。

スポーツ事故による損害賠償請求をお考えの時には、弁護士までご相談ください。

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岩熊 豊和弁護士

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma

私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。

弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。

スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。

「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。

丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。

所属団体

  • 福岡県弁護士会
  • 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー

経歴

  • S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
  • H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
  • H5.4 大阪大学法学部入学
  • H9.3 大阪大学法学部卒業
  • H10.10 司法試験合格
  • H11.4 司法修習生(53期)
  • H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
  • H30.9 岩熊法律事務所開設

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