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学校がいじめを把握していながら対応しなかったときの対処法

学校のいじめの問題は対応しないでいると、最悪の場合命に関わる大きなものです。

とはいえ、学校という閉鎖的空間は、重大な問題であるのにもかかわらず、異常性に気づかず、いじめを放置することも考えられます。

今回は、学校がいじめを把握していながら、対応しなかったときの対処法について解説します。

学校側がいじめを把握した場合に対応すべきこととは?

学校側は、いじめの事実を把握した場合、いじめ防止対策推進法に基づき、迅速かつ適切な対応を取る義務があります。

具体的には、いじめられている生徒の安全確保が最優先となります。

いじめの事実関係を調査し、いじめを行った生徒への指導や、保護者への連絡・連携を行うことが求められます。

また、いじめられた生徒の心のケアや、いじめが再発しないような環境づくりも重要です。

学校は、いじめの事実確認を行った結果を学校の設置者に報告する義務を負います。

いじめは、個別の問題として片付けられるものではなく、学校全体で組織的に対応すべき問題です。

いじめ防止対策推進法では、学校や教員は、いじめの早期発見と、いじめを認知した場合の適切な対応を義務付けられています。

学校側のいじめに対する法的責任

学校がいじめを把握していながら、適切な対応を怠った場合、学校側は法的責任を問われる可能性があります。

いじめ防止対策推進法では、学校や教員には、いじめの早期発見と解決に向けた義務が課されます。

この義務を怠り、生徒が心身に重大な損害を被った場合、安全配慮義務違反として、損害賠償責任が生じることがあります。

私立学校の場合、教員個人にも民法上の不法行為責任が生じる可能性があります。

なお、国公立学校の場合は、国家賠償法により教員個人の責任は否定されており、国または地方公共団体が賠償責任を負います。

いじめは、単なる生徒間の問題ではなく、学校の管理責任が問われる重要な問題です。

学校側が責任を逃れることはできません。

学校がいじめを放置した場合の対処法はある?

学校がいじめを把握していながら適切な対処をせず、いじめが続いている場合、ご家族だけで問題を抱え込まず、外部の機関に助けを求めることが重要です。

次のような準備を行いましょう。

いじめの詳細を時系列順にまとめる

まずは、いじめの詳細を時系列順に、できるだけ具体的に記録しましょう。

いつ、どこで、誰が、どのような行為をしたのか、また、どのような被害があったのかを詳細に記録します。

これにより、いじめの事実を客観的に証明するための材料となります。

いじめの記録は、後の話し合いや、法的な手続きを進める上で非常に重要です。

日記やメモ、録音データなど、可能な限り多くの情報を記録しておきましょう。

いじめに関する証拠を集める

いじめに関する証拠を集めることも重要です。

いじめられた生徒の傷跡の写真や、いじめに関するメッセージのやり取りの履歴、いじめを目撃した友人からの証言などが、証拠となります。

また、学校への相談履歴も重要な証拠です。

いつ、誰に、どのような内容で相談したのか、その際の学校の対応はどうだったのかを記録しておきましょう。

証拠を集めることで、学校側がいじめを把握していたにもかかわらず、放置していたという事実を証明することができます。

学校がいじめに対応してくれないときに相談する先は?

学校がいじめに対応してくれない場合、ご家族だけで解決しようとせず、外部の専門機関に相談することが大切です。

教育委員会に連絡する

まずは、学校を管轄する教育委員会に連絡しましょう。

教育委員会は、学校の対応を監督する立場にあり、学校に対し、いじめ問題への適切な対応を促すことができます。

いじめの記録や証拠を提示し、学校の対応が不十分であることを伝えましょう。

教育委員会への相談は、学校へのプレッシャーとなり、問題解決に繋がる可能性があります。

警察に相談する

いじめの内容が、暴行や恐喝、器物損壊といった犯罪行為に該当する場合、警察に相談することも有効です。

警察に相談することで、いじめの事実が客観的に記録され、学校側へのプレッシャーにもなります。

ただし、警察は民事的な紛争には介入しないため、損害賠償請求などの問題は、別途対応する必要があります。

弁護士に相談する

学校や教育委員会に相談しても問題が解決しない場合、弁護士に相談しましょう。

弁護士は、いじめの法的責任を追及し、損害賠償請求を行うためのサポートをしてくれます。

証拠収集のアドバイスや、学校との交渉、訴訟手続きまで、すべてを任せることができます。

弁護士に相談することで、精神的な負担が軽減され、円満な解決を目指すことができます。

弁護士は、いじめ問題の解決に向けた強力な味方となります。

まとめ

今回は学校がいじめを把握していながら対応しなかったときの対処法について解説しました。

学校内のいじめは、露見しにくく、またなかなか司法の手が届きにくい問題ではあります。

当事務所では学校のいじめ問題に注力し、被害に遭われた方の負担を軽減できるような弁護活動を目指しています。

問題解決に尽力いたしますので、お困りの方はご相談ください。

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資格者紹介Staff

岩熊 豊和弁護士

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma

私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。

弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。

スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。

「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。

丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。

所属団体

  • 福岡県弁護士会
  • 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー

経歴

  • S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
  • H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
  • H5.4 大阪大学法学部入学
  • H9.3 大阪大学法学部卒業
  • H10.10 司法試験合格
  • H11.4 司法修習生(53期)
  • H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
  • H30.9 岩熊法律事務所開設

事務所概要Office Overview

名称 岩熊法律事務所
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