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剣道部の稽古中に生徒が熱中症になったら指導者は責任を負う?

学校の部活動において、生徒が安全に活動できるように配慮することは指導者の重要な責務です。

防具を着用して激しい運動を行う剣道部は特に熱中症のリスクが高いため、指導者は十分注意しなければなりません。

本記事では、剣道部の稽古中に生徒が熱中症になった場合に指導者が責任を負うことになるのかや、部活動中の熱中症を防ぐために指導者が行うべき対策について解説します。

剣道部の稽古中に生徒が熱中症になったら指導者は責任を負う?

指導者が法的な責任に問われるかどうかは、以下の基準に従って判断されます。

予見可能性の有無

予見可能性の有無は、当時の状況から事故や健康被害が事前に予測できる状況にあったかどうかを意味します。

予見可能性があったとみなされると、生徒の熱中症について指導者が責任を追及される可能性が高まります。

たとえば、熱中症警戒アラートが発令されている中で激しい練習を行っていたようなケースでは、指導者が熱中症の危険性を容易に予見できたとみなされやすいです。

指導者の主観的な判断ではなく、気象条件や生徒の体調変化に基づいて、客観的に指導者が気づくべき状況であったかが問われます。

結果回避義務の履行状況

結果回避義務の履行状況とは、発生が予見された危険や事故の結果を回避するために指導者が取るべき適切な措置を講じていたかどうかです。

危険性が予測できていたにもかかわらず指導者が措置を講じていない場合には、責任を問われることになります。

部活動中に生徒が熱中症になった場合に指導者が負う責任

部活動中に生徒が熱中症になった理由として指導者の安全配慮義務違反が認められた場合、指導者が問われる可能性のある法的責任には、大きく分けて次の2つがあります。

民事上の責任

部活動中に生徒が熱中症になった場合、指導者に安全配慮義務違反等が認められると、学校の設置者や指導者等に対して民事上の損害賠償責任が生じる可能性があります。

請求される可能性のある項目は、以下の通りです。

  • 治療費

  • 通院費

  • 後遺障害が残った場合の逸失利益

  • 精神的苦痛に対する慰謝料

刑事上の責任

熱中症の症状が重く、生徒が死亡したり重大な後遺症が残ったりした場合には、刑事上の責任を追及されるおそれがあります。

このとき問われる可能性があるのは、業務上過失致死傷罪です。

業務上過失致死傷罪が成立すると5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科せられます。

部活動中の熱中症を防ぐために指導者が行うべき対策

剣道部の稽古中に生徒が熱中症になることを未然に防ぐため、指導者は日頃から環境の変化に注意を払い、適切な管理体制を整えておく必要があります。

具体的には、以下の対策を講じるようにしてください。

生徒の体調に配慮する

熱中症の発症を未然に防ぐためには、練習の前後や最中において、指導者が生徒の健康状態に異常がないかを観察することが重要です。

特に、熱中症の初期症状として現れる次の症状に注意してください。

  • めまい

  • 顔のほてり

  • 筋肉の痛み

  • 足がつる

  • 強いだるさ

  • 吐き気

上記の症状が見られたら、稽古を中断して適切な処置を施す必要があります。

直ちに涼しい場所に移動させ、衣服を緩めて身体を冷やすようにしましょう。

自分で水分が摂れないほどの状態であれば病院への搬送が検討されます。

気候条件に応じて練習内容を変更する

湿度が高い日や熱中症警戒アラートが発表されている日は、熱中症になるリスクが高いため、練習内容の変更を検討してください。

防具を着用する時間を短くしたり、稽古の強度を落としたりすることで、熱中症を回避できる可能性が高まります。

あまりに気温が高い日には練習を中止するなど、状況に合わせて柔軟な対応をすることが大切です。

定期的な休憩時間を設ける

指導者には、休憩時間を確実に確保し、すべての生徒に対してこまめな水分補給と塩分の補給を促すことが求められます。

喉が渇いたと感じる前に水分を補給できる環境を整えることで、熱けいれんや脱水症状のリスクを軽減させることができます。

まとめ

本記事では、剣道部の稽古中に生徒が熱中症になったら指導者が責任を負うのかどうかや、部活動中の熱中症を防ぐために指導者が行うべき対策について解説しました。

部活動中に生徒が熱中症になったとき、直ちに指導者が責任を問われるというわけではありません。

しかし、状況から熱中症の危険性があると予測できたにもかかわらず、指導者が行うべき措置を取らず、結果として生徒が熱中症になったと判断される場合には、指導者は民事上および刑事上の責任を追及される可能性があります。

部活動中に生徒が熱中症を発症したことについて責任を問われるのではないかと心配されている指導者の方は、弁護士への相談をご検討ください。

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岩熊 豊和弁護士

岩熊 豊和Toyokazu Iwakuma

私は小学校入学と同時に野球を始め、楽しく真剣に打ち込んできました。

弁護士登録後も野球チームに入り、たくさんの選手の笑顔を見ている中で、「野球が好きだなぁ」という思いを改めて実感いたしました。

スポーツの現場では、暴力行為やパワハラ、いじめなどさまざまなトラブルが発生しているものの、選手が泣き寝入りをする結果となってしまうことも珍しくありません。

「スポーツを楽しむという原点を取り戻すこと」を目標に、スポーツを心から楽しむ選手を守るためリーガルサポーターとして日々取り組んでいます。

丁寧にお話をお伺いいたしますので、お悩みの方はぜひ当事務所へお問い合わせください。

所属団体

  • 福岡県弁護士会
  • 公益財団法人日本スポーツ協会ジュニアスポーツ法律アドバイザー

経歴

  • S47.11 福岡県飯塚市に生まれる
  • H3.3 福岡県立東筑高等学校卒業
  • H5.4 大阪大学法学部入学
  • H9.3 大阪大学法学部卒業
  • H10.10 司法試験合格
  • H11.4 司法修習生(53期)
  • H12.10 弁護士登録、はかた共同法律事務所入所
  • H30.9 岩熊法律事務所開設

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